クレーンゲーム

923 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/31(土) 04:34:50 ID:S607NsSM
 今日は午後から受験生の面接をやるらしく、生徒は午前の授業で終了である。
 このまま帰っても宿題が待っているだけなので、俺は気晴らしに商店街へ寄り道をして行く事にした。

 (ん、あれは・・・古泉か?)
 ふらりと立ち寄ったゲーセンで、何故かUFOキャッチャーとにらめっこしている古泉を発見。
 気付かれないように、斜め後ろの台からさりげなく様子を覗いてみた。

 どうやら狙っているのは、帽子を被った耳のデカい熊のぬいぐるみのようだ。
 どんな生き物だよ、という脳内ツッコミはさておき、コイツはなかなか手強そうだな。
 案の定、クレーンは巨体を挟むどころか引っ掛ける事もできずに穴と熊の間を行き来している。
 クレーンが空を掴むたび、古泉は肩を落としながら次の100円を投入していく。
 それにしても、古泉も意外と粘るもんだな・・・今ので何クレ目だ?
 さすがに見るに耐えなくなった俺は、両替機で千円札を崩し古泉の前に立った。

 「どいてろ古泉。一発で取るからちゃんと目開けてろよ」
 突然の俺の登場に余程驚いたのか、古泉は持っていた100円の山を盛大にぶちまけてしまった。
 せっせと100円をかき集める古泉を尻目に、俺はターゲットへクレーンを移動させていく。
 これ以上ない完璧な位置で手を離し、なんとかぬいぐるみの脇にクレーンを挟む事に成功。
 だが、クレーンの力が弱いせいかぬいぐるみは僅かに持ち上がったところで落下してしまった。

 その後も100円玉が無くなるまでプレイしてみたが、結果は変わらず。
 古泉は俺にプレイ料金を払おうとしたが、あくまで俺が勝手にやった事なので断った。
 気付くと外はもう夕暮れのようだ。古泉もさすがに諦めがついたらしく、
 鞄を拾い上げると俺に手を振って帰っていった。

 さて、俺も帰るか。歩き出したところでポケットの感触に気付く。
 (そういや昼飯代の釣りを入れっぱにしてたな。122円か・・・)
 小銭から100円玉を取り出すと、俺は再びゲーセンへと引き返した。

元URL:http://www.syu-ta.com/blog/2007/04/01/124654.shtml