一杯のカップ麺

167 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/13(火) 19:46:07 ID:4knnU94D
 12月も半ばに差し掛かり、そろそろ本格的に寒くなってきた頃である。
 谷口のせいで昼飯を食い損ねた俺は、放課後に購買でカップ麺を買い、部室で食う事にした。

 コンコン。
 「うーっす・・・ってなんだ、古泉しかいないのか」
 なんとも運が悪い事に、俺を出迎えてくれたのは古泉の爽やかスマイルだけだった。
 とりあえず机に鞄を置き、買ってきたカップ麺を取り出す。

 「ちょっとお湯借りるぞ」
 ポットのお湯を注ぎ3分待つと、うまそうな味噌ラーメンの完成だ。
 さっそく割り箸に手を伸ばした所で、古泉と目が合った。なんだ、こっちを見るな。
 無視して食べ始めるが、やはり古泉の視線のせいで気が散る。もしかしてお前も食いたいのか?
 どうやら古泉も生徒会の仕事のせいで昼飯を食いそびれたらしい。
 仕方なく俺が器と箸を差し出してやると、古泉は律儀にいただきますをしてから嬉しそうに食い始めた。
 2口ほど麺をすすったところで古泉はごちそうさまの礼をしたが、さすがにこれだけじゃ足りんだろう。

 「腹減ってんだろ?遠慮することねえからもっと食えよ、古泉」
 俺の申し出に古泉は一瞬申し訳なさそうな顔をしたが、すぐに笑顔になってうなずいた。
 やれやれ、なんだかこっちがこっぱずかしくなってくるな・・・
 結局俺達は交互にラーメンをすすり合った。

元URL:http://www.syu-ta.com/blog/2007/03/14/022843.shtml